2007年共生新党党首マニフェスト(第四次) テキスト版

参院選政策 (マニフェスト) / 共生新党

次の五つを共生新党の政策の柱とします。

「共生」とは党首が学んだ東海学園(名古屋)の学園長故椎尾先生(当時芝、増上寺管長)から教えられた「ともいき仏教」を発展させたものです。

Ⅰ)命を守る安全な日本をつくります。
①日本のどの地域をとっても、地震、台風、といった自然災害の危険にさらされている。
国土計画、都市計画のもっとも基本となる安全な街づくりは緊急課題です。
もし、巨大地震があると、日本の経済は大打撃を受け、その影響は数十年続くことは間違いありません。
緊急時の救命、消防、通信、医療、医薬品、水、食料、仮設住宅、治安の対策を地域ごとに緊急に立案する必要があります。
地方自治体の緊急5ヶ年計画の策定費の8割、総額約1000億円を国の補助
とし予算化します。
② 具体策として次のものがあります。
1. 居住地区(都市、農村集落)、空港、港湾、発電所、行政中心への幹線道路を複数整備し、災害発生後の救命、救護、消防に役立たせます。
2. 居住地区の木造2階建の耐震化を優先して実行します。(全額国庫補助とする‐予算約1000億円)
3. 全国の学校を緊急避難地として指定。学校、行政、警察、病院、消防、自衛隊、自治会、主要職域間に独自の無線通信網をつくる。
4. 学校の校庭の周囲に防火林を植樹し、校庭の地下に、貯水槽、食料
医薬品、緊急備品を常備します。
又、校庭に仮設の救急病院や臨時へリポートができるようにします。
  5. 地方の主要都市では、周辺地域への緊急救助隊を編成し、周辺地域へ直  ちに派遣できるようにします。
  6. 木造以外の鉄筋やコンクリート構造の建築物については、公共建築は
100%、その他民間については申請、届出のあったものについて国がその耐震診断を予算化する。(緊急5ヵ年計画として、国はその費用約
1兆円を予算化します)
  7. 林業地域のスギ、ヒノキ、の粗製、乱造により、豪雨による山崩れ
    危険地域が拡大しています。緊急の防災工事構築費として国はその 50%(総額約1兆円)を予算化します。
  8. 日本国土の地理的特性からみて、災害後の救助対策に港湾の果たす役割は大きいと思います。国は地域ごとに緊急時指定港湾を定め、緊急5ヶ年計画として約5000億円を予算化します。

Ⅱ)老後も安心して生活できる年金、医療、福祉を最重点政策とします。
① 社会保険庁の記録ミスを徹底して解明して、その責任を明らかにさせます。
② 年金の一体化を早期実現します。
③ 低所得者向けの住宅対策、税制・年金対策を関連づけて実行します。
④ 医療、福祉の政策を公立・大型施設方式だけでなく、地域医療、地域福祉の方向へ転換させます。具体的には地域コミュニティにおける、自助、相互助け合い、奉仕活動も含めて地域医療、地域福祉を充実させます。
⑤ パートの年金、医療保険を正式社員と同等にします。
⑥ 現在の年金、医療等の水準を保持するため、徹底的に行政の無駄をはぶき2010年以後を目標に、消費税の値上げを検討します。

Ⅲ)格差の是正
①大都市と地方との格差の是正
都市化は世界的な傾向ですが、極端な人口と経済の都市への集中は、地方の地場産業の発展を阻害し、地方自治の財政を悪化させ、地方の伝統的個性や地方の豊かな自然(日本の原風景)までもが崩壊する危険があります。
大都市と地方がそれぞれにもつ地域コミュニティの伝統や個性を生かした上で多角的なネットワークをつくっていけば、日本はこれからも世界の主要な経済国として持続的に発展できるはずです。

②地方の中小企業を支援する新しい融資制度をつくります。

③地方から、地域の中核都市や、大都市への若者の流出が進み、林業、漁業、農業、地場産業の次世代への引継ぎが困難となっています。地場産業の継続的な発展があってこそ、雇用も確保できます。

④林業、漁業、農業、そして地場産業の再生モデル地域を指定します。
指定地区については、温泉街、塗工芸、高品質米、高品質野菜、高品質果物そして観光産業を対象にして、事業再生とブランド化のための施策を実行し、国はその事業費の50%を補助します。(国家予算として約1兆円)
又、地場産業再生モデル地区におけるインフラ整備(道路、公園、遊歩道、等)の補助率を80%にあげるため国の予算約1兆円を緊急5ヶ年計画として組みます。

⑤小泉内閣の市場原理の重視は、競争原理によって世界から日本への投資やM&Aによる日本企業の買収の流れをつくるのには効果がありました。

しかし、市場競争至上主義のための構造改革、規制緩和によって、国民の間の所得格差、大企業と中小企業間の収益力格差、異なる業種間の所得格差、そして東京と地方、地方中核都市と周辺農村との間の経済力格差が拡大しました。 この経済力格差、所得格差は国民が本来共通して受けられるはずの公的サービス(医療、福祉、教育)や文化的な豊かさ、そして生活環境や老後の暮しにまで広く悪影響が及んでいます。
大都市の一人勝ちの現状を変革して大都市と地方が手をたずさえて共生、共   栄できるような緊急な政策転換が必要だと思います。

⑥都市と地方との格差をなくし、各地方ごとの独自の発展を推進するためには、以前全国知事会がまとめた「三位一体の改革案」を完全に実行に移すことが必要です。

Ⅳ)教育
教育は、その全体的な底上げだけではなく、より個性を伸ばすことにも力を入れるべきである。又、21世紀には総合的な判断、総合的な分析と予測を求められる時代であり、現在のタテ割りの狭い専門化には大きな壁がある。

① 大量生産、高度消費の時代は、メディアもマスメディア中心であり、人々は皆と横並びの同じ価値観を共有することに関心があった。
いま、時代は情報化社会であり、多様な価値観の時代です。ものづくりにおいてさえ、多種中量生産重視され新聞テレビのマスメディアとは別に、ミニコミ、インターネットのブログ、そして個人のホームページ全盛の時代になってます。
この時代を安心して豊に生活していくためには、自らの個性、企業の個性、地域社会の個性が決め手となります。これが個性教育、ニッチ産業、企業のブランド、オンリーワンの個性が目標とされる理由です。

② 教育のゆとり論、授業時間数の増加等の議論には、教育を時間という量で考えるという基本的欠点があります。
個性を伸ばすのには、家族間の心のきずな、すばらしい先生との出会い、先生と生徒とのマンツーマンのコミュニケーションほど重要なものはありません。又、英国の王立建築家協会が実施した調査では、すばらしいデザインの学校では不登校生は発生しにくく、教育効果は絶大であると結論づけている。(2007年国立新美術館における英国王立建築家協会会長の講演)病院でもデザインの良い病院では、患者の回復が早いことが分かっています。

日本全国各地には、それぞれの地域独自のすばらしい自然、文化的伝統、人のきずな、地場産業があります。これらを生かすことができれば、日本は底力のある国になるでしょう。そのためにも若者が、生まれた地域、両親や先祖の出身地域に誇りが持てるような「地域教育」を各学校ごとに取り入れる必要があります。


Ⅴ)経済と文化の共生
① 日本は世界第2の経済力を誇っています。これは、日本人の学習好きと真面目な勤勉さに負うところが多く。又、伝統文化を大切に守ってきた点にもある。

②市場競争至上主義の結果、現在の日本を外国人が見た場合に、金もうけのうまい金持ち国と思われていても、本来の尊敬を受けていません。
その国の芸術・文化・伝統、つまりは文化力にも同じような関心を持たれてこそ日本は世界各国から尊敬されるようになるのです。

③いま既に、日本の現代文化(現代建築・アニメ・映画・音楽そして技術革新力)に欧米で注目が集まっている。
クリントンは大統領就任後、ホワイトハウス白書「クリエティブ・アメリカ」(創造力の強いアメリカを目指して)を発表しましたし、ブレア首相も又、「クリエティブ・インダストリー」(創造産業)を国の産業に育てると明言しました。

④経済の持続的な発展は、芸術・文化そして技術革新も含めた創造産業が牽引力となります。これこそ「経済と文化の先生」が必要な理由です。
環境が美しく、勤勉で、しかも芸術・文化を主軸に据えた政策のない国はいくら金持ちでも、いずれ斜陽化するしかありません。


共生新党は、党首黒川紀章が増上寺管長、椎尾弁匡師の「ともいき仏教」をもとに、それ以降50年をかけて、宗教を超えて世界に通じる新しい思想『共生の思想』をその中心としています。

共生の思想は、人間(都市)と自然の共生、理性と感性の共生、人間と他の生命種との共生、世代の共生、経済と文化の共生、科学技術と芸術の共生、生の価値と死の価値の共生、身障者と健常者との共生、世界の異文化との共生といったそれぞれの次元での共生を実現するための思想です。

いま英語版、独逸語版も出版され、近日中に中国語版も出版されます、共生の思想は西欧の二次元論とまったく違う東洋発の思想として注目されています。

共生新党は、これまで政治に充分届かなかった国民の声を、政治の場へとどけるため、国民の皆さまと共に考え歩む新党です。


2007年6月 
共生新党党首 黒川紀章